2010年8月1日日曜日

有元利夫展-東京都庭園美術館

 すでに友の会会員になって久しい東京都庭園美術館。東工大にいたころは、
それこそたびたび研究室から自転車でふらっと行っていたところ。いまでは、
すっかり足を運ぶ回数が減ってしまったが、相変わらずここの企画はいつも
期待以上のものを感じさせてくれる。

 今回の没後25周年の「有元利夫展 天空の音楽」もまったくもって期待以
上のもので、感嘆させられた。

 以前から有元利夫の絵は知っていたはずだが、まとめてきちんと観るのは
今回が初めて。たんなる音楽とのつながり以上に、有元利夫の作品にはどれ
もすっかり心酔してしまった。より正確に言うならば、ここのどの作品とい
うよりも、彼の作品とその作品の飾られた空間に、というべきであろう。
またも、このひとつの美術作品である美術館の空間との「調和」にしてやら
れたとの想いが強い、舟越桂以来だろうか。

 有元の作品にはそれほど私自身は音楽を強くは感じなった。むしろ、そこ
に感じられる、悠久の歴史と空間に魅了されたと言ったほうがいいような
気がする。

 それは、とくにともすればシュールレアリスムの作品のようにしか見え
ない彼の作品を特徴づける、以下の彼自身のことばから気付かされたもの
である。ひさびさに迷わず購入をしたカタログから引用をしたい。

僕が舞台を描くのは
そこが演技する空間だから、
嘘をつく空間だからと
言ってもいいかもしれません。
いっぱい嘘をついて
いっぱい演技をして
様式を抽出すれば
より真実に近づき
本当のリアリティーが
出せると思うのです。

 この言葉を1階の大広間で読み、なるほどだから彼の作品には
「枠」のように幕が描かれることが多いのか、と気づかされた。
ひとつの描かれた虚構であるからこそ感じられる、時間と空間。
それは実にリアリティをもって、私たちに問いかけてくる。ある
いは訴えかけてくる、いやむしろ話しかけてくるぐらいのほうが
適切かもしれない。

 これほど作品との「対話」が豊かにできたことも久々で、充実
した2時間であった。今度は有田正広氏によるミニコンサートも
あるとか。実に楽しみ♪

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