10年ぶりのヤンソンス
どうにかこうにか博論に片をつけたので、早速とばかりにマリス・ヤンソンス指揮のバイエルン放送交響楽団の演奏会へ。ちょうど安い券を譲ってくださる方がおられたので。 会場も久々の横浜みなとみらいホール。学生でなくなってからすっかりご無沙汰。今回はかなり舞台に近いバルコニー席。高い(完全に舞台を見下ろす感じ)というのが少々になるほかは、いいかんじ。会場へのアクセスは値段が相当高くなったが、みなとみらい線のおかげで、桜木町から歩かなくてもすまなくなったことはありがたい。どうしてもあの「空間」は何度行っても気持ちが悪い。なにか人工物で埋め尽くされたような空間だからであろうか。とにかく長居をしたい空間ではない。 さてそれはさておき、前半はイェフィム・ブロンフマンのピアノで、チャイコフスキーのコンチェルト。先日アファナシエフを聴いているだけに、その対照ぶりはすさまじいものが。とにかく体全体でものすごい迫力。とはいえ、後ろから見ているとよくわかるのが、力任せでは決してなく、流れ出る音楽は乱雑にならず流麗なもの。まあでもフィナーレは相当オケとの崩壊寸前の格闘技。いや凄かったのなんのって、という感じ。彼は昨年、ゲルギエフ/ウィーン・フィルとラフマニノフをやったとか。あまり聴きたいとは・・・ 後半はショスタコーヴィチの第5番。私とヤンソンスの出会いは、1988年に彼がレニングラード・フィルと録音したショスタコーヴィチの第7番。そのロシアらしからぬ?都会的な洗練された響きが当時は評判で、その後、95年にウィーンで彼らの実演を聴く。その当時、ウィーンではすでに圧倒的な人気を誇っていました。前半のプログラムに遅れたことを隣席の男性(まったく知らない人)にたしなめられたほどで・・・。 その後、たびたびヤンソンスは来日して、日本でも評判もうなぎ上りですが、ショスタコーヴィチはいつも5番ばかり。それで聴きにいかなかったこともあったのですが、いやいやなんのなんの、名曲であり私自身ももう何度も聴き、スコアも読んだこの曲の真価を見せてくださいました。 とくに素晴らしかったのが、第三楽章のオーボエ・ソロ。今回のヤンソンス/バイエルン放響の演奏での収穫は、何よりPの美しさ。もちろんfのときの響きの壮大さはいうまでもないのですが、非常に緊張感に溢れた彼らの演奏は、Pのときにより一層発揮され、ショスタコーヴィッチの音楽に特有の「嘆き」がこれほどまでに表現されるのか、と本当に涙が出るようでした。ああいいオーケストラというのはこういうものだなあ、と。 ヤンソンスは本当にいい指揮者なったものです。かつては技巧的に優れた部分と熱血的な部分の調和が必ずしも十分昇華されていなかったかもしれませんが、いまや深い音楽性と統率力で間違いなくオーケストラ指揮者として、脂の乗った時代を迎えているように思えます。 それにしてもこの秋は、ムーティ/ウィーン・フィル、スダーン/東響、そしてこのヤンソンス/バイエルン放響と、立て続けに素晴らしい演奏に接することができたことは、本当に喜ばしい限りです。今週末は、「日本のオーケストラによるショスタコーヴィチ演奏の中では最も強烈なもののひとつだったのでは」という批評(音楽の友)まででた、ラザレフ/日フィルによるプロコフィエフ特集。たのしみ!

0 件のコメント:
コメントを投稿