ムーティ/ヴェルレク&BCJ《マタイ》(初期稿)
4月に入り充実の演奏会を2つ。 6日(木)の東京のオペラの森オーケストラ公演でのリッカルド・ムーティ指揮による、ヴェルディの《レクイエム》は期待以上の演奏。昨年のウィーンフィルとの演奏は、対等な関係での誠実な音楽創りを満喫することができたのに対して、今回は完全に全てがムーティの掌中に収められた演奏で、まさに「帝王」。 この曲はパバロッティ、スカラ座との演奏で昔から聴き慣れていて、特に「リベラ・メ」のクライマックスで、バスと上三声の掛け合いの後、「tutta forza」で「Domine,・・・」を歌う部分、この直前でムーティはリタルダンドをして、この部分へ入り、その後アッチェランドをかけてもとのテンポへ戻すのがとってもお気に入りだった。今回もさまざまな場面で、このようにテンポ自在に換えて、ヴェルディの「歌」を満喫させてくれる演奏だった。当該部分も「Domine」がかつての録音で記憶にあった以上に強調されており、満足。この公演に関しては以下のブログが、いろいろな情報を集めていて興味深い。http://il-figlio-del-sud.cocolog-nifty.com/bravomuti/翌日、パイオニアでの練習で同じ曲を歌ったわけだが、同行者と「やっぱり同じ曲とは思えない」と異口同音。初めてソロの部分も歌うが、やっぱり声質が合わない気がする。 続いて8日(土)にミューザ川崎でBCJのマタイ(初期稿)。ミューザという大きな会場での演奏には抵抗があったものの(サントリーでの公演には行かないことにしている)、1階平土間部分が少なく、どの席からもかなり舞台が近く感じられるこの会場は、3階正面の大変いい条件で聴くことができ、改めてこのホールの素晴らしさを感じさせるものだった。演奏はもちろん、彼らには「当然の」(?)素晴らしい演奏。今回は初期稿を採用で、最初の曲で少年合唱が担当することの多いコラールをパイプオルガンのみが担当したのは、このホールのパイプオルガンを聴くことができる意味では興味深かったが、残念ながら響きも音量もテンポもずれが生じ、成功とは言いがたい結果に終わったことは少々残念。それにしてもこの団体の演奏が、高い集中力・緊張感ながら、実に生き生きとした余裕を感じさせ、3時間近いこの曲を全く冗長なものにしてしまわないことには殆ど唖然とさせられるものがある。 そしてやはり受難曲を聴くと言うのは、ただ演奏会に行くというのとは明らかに異なる特別な「経験」であることを改めて感じさせてくれたことに何より感謝をしたいものです。

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